1. はじめに
アメリカ政府は自国産業の保護や貿易赤字の是正を目的に、高関税政策を推進しており、鉄鋼、木材、アルミニウムなどの建築資材にも高い関税を課すケースが見られる。こうした政策は、直接的な対象国である中国やカナダのみならず、グローバルなサプライチェーンを通じて、日本国内の建築業界にも波及している。特に注文建築を手掛ける中小企業にとっては、資材価格の高騰や納期の遅延といった形で大きな影響が出始めており、2025年7月頃からはその影響が本格化しつつある。
2. 注文建築事業者への主な影響
2.1 資材コストの上昇
多くの建材は国際市場で価格が決まるため、アメリカ市場で需要が逼迫し価格が高騰すると、間接的に日本でも価格上昇が起きる。特に以下の資材が影響を受けやすい。・木材(米松、SPF材など):アメリカの住宅需要が高まり、かつ高関税で輸入量が減ると、代替供給先を求めて日本などが影響を受ける。
・鉄鋼・アルミ製品:アメリカが輸入に高関税を課すと、供給過剰を恐れた海外メーカーが他国(日本含む)に販売をシフトさせ、価格競争が激化。
2.2 納期の遅延
関税によって貿易フローが不安定になることで、建築資材の輸入が不定期・不安定となり、注文住宅における工期の遅延リスクが増加する。2.3 価格転嫁の困難
注文建築は顧客ごとの価格交渉が基本であり、急な資材価格の上昇を即座に販売価格に反映させることが難しい。そのため、事業者の利益率が圧迫される。2.4 間接的な影響(需要の変化)
物価上昇(インフレ圧力)によって住宅取得に対する消費者の慎重姿勢が強まり、注文住宅の需要自体が減少する可能性がある。3. 対策・対応策
資材コストの上昇、納期の遅延、価格転嫁の困難、間接的な影響(需要の変化)の影響に対し、注文建築事業者は以下の対策を検討する必要があります 。3.1 サプライチェーンの多様化
特定の国に依存せず、東南アジアや国内資源への切り替えなど、調達ルートの多様化が求められる。3.2 顧客との契約内容見直し
長期的な契約においては、資材価格の変動に応じて価格を見直す「物価スライド条項」の導入を検討する。3.3 国内製材業者との連携強化
地域の林業や製材業者と連携することで、資材価格の変動リスクを低減させ、地域資源の活用にもつながる。3.4 デジタル化・効率化の推進
設計や施工管理のデジタル化により、コストの見える化と無駄の削減を図ることで、利益率の改善を目指す。4. 今後の展望
アメリカの貿易政策は政権や国際情勢に大きく左右されるため、継続的な情報収集と柔軟な事業対応が重要となります。また、国内建築業界全体での情報共有や共同調達など、業界横断的な取り組みも必要になります。建材価格の高騰、納期遅延、価格転嫁の困難といった外部環境の変化は、企業の調達・設計・施工といったハード面だけでなく、営業活動にも波及しています。
特に注文建築においては「コスト感の不確実性」や「建築時期の見通しの不透明さ」から、顧客の意思決定が長期化・慎重化する傾向が強まっています。
このような市場環境下で、土地を保有していない来場者への営業対応は、より繊細かつ戦略的に行う必要があります。ここからは、営業部門における具体的な課題と、解決のための提案を見ていきます。
5.土地を持たない顧客と、注文建築営業の未来をつくる
土地を持たない来場者が増加しているという事実
近年、国際的な情勢の変化により、建築資材の価格はかつてないほど高騰しています。この余波は日本国内の建築業界にも及び、特に中小の注文建築事業者にとっては収益構造に直結する深刻な問題となっています。現在、注文建築を検討する顧客の中で、土地をまだ所有していない段階で来場するケースが増えています。しかしながら、こうした顧客は情報収集段階に留まりがちで、最終的な成約には至りにくい傾向にあります。営業現場ではこの層への対応に多くの時間を費やしながらも、十分な成果が得られないという課題が顕在化しています。
非推奨:不動産仲介業者との連携強化
土地探し支援の一環として不動産仲介業者との連携強化が模索されていますが、これは営業主導権の喪失や、紹介料の負担、提案スピードの低下といったリスクをはらんでいます。注文住宅事業者が持つ「建てる力」を活かすには、土地探しの入り口から自社で関与する体制の構築が望ましいでしょう。提案①:無料プラン作成ツールの導入
顧客が気になる土地に対して、参考プランを何度でも無料で提案できるツールの導入が効果的です。建物配置や外観イメージまでを含めた可視化資料とすることで、顧客が土地を購入するかどうかの判断を後押しします。提案②:DXによる土地検索支援
顧客と営業担当が一緒に操作できる土地検索ツールを導入することで、リアルタイムに候補地を提示しながら商談を進めることが可能になります。土地未所有の顧客にとって、条件検索やマップ機能の活用は非常に心強い武器になります。提案③:顧客への情報提供・教育施策
土地探しセミナーや、住宅ローン・法規制の解説資料などを通じて、顧客自身の“検討力”を高めることも有効です。これにより、営業側が“教える”時間を減らし、より具体的な提案フェーズへと進むスピードが上がります。まとめ:土地探しから寄り添える会社へ
資材高騰、顧客の情報収集行動の変化、そして営業生産性の課題。こうした時代の中で、注文建築事業者が次のステージへ進むためには、“土地なし”という入口から顧客に寄り添う営業体制が求められています。プラン提案力・DX支援・情報教育を三位一体で展開し、他社と差別化された営業体験を提供していくことが、成約率向上と持続的成長につながるのです。6.土地を保有する顧客への成約率向上策
一方で、すでに土地を保有している顧客に対しては、成約までのリードタイムが比較的短く、 効率的な営業活動によって受注確度を高めることが可能です。以下のような取り組みが有効と考えられます。・所有地に対する最適プランの迅速な提案:土地形状や接道条件、法規制などを即座に反映した建築プランをスピーディーに提示し、 顧客のイメージを具体化させることが重要です。
・実例やビジュアル資料の活用:過去に同様条件で建てた住宅の事例や、3Dパース・VRなどを活用して完成後のイメージを共有することで、 安心感と期待感を醸成します。
・資金計画の明確化とローン支援:土地取得費が不要な分、建物にかけられる予算の最適配分を提案し、 資金計画の不安を解消する支援体制を整えることも効果的です。
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